屋上緑化とは?
屋上緑化とは?
屋上緑化成功のためのポイントや
施工上の注意点などをご紹介
昨今のヒートアイランド現象や都市緑地の減少、またゲリラ豪雨などにより内水氾濫などが都市を襲い、生活環境の悪化が進んでいます。一方、緑地の確保や自然環境の創出など持続可能な街づくりが求められています。屋上緑化の選択は上記の解決に有効であり、来る脱炭素社会においても多くの効果が期待されます。
ここでは屋上緑化の効果から設計上でのポイント、施工時の注意点などをご紹介いたします。
屋上緑化の効果
屋上緑化の効果には以下のようなものがあります。
効果①:省エネルギー効果
屋上緑化を行うことで、省エネルギー効果が期待できます。
- 植栽部→植物による直射日光の遮蔽、葉の水分蒸散による冷却効果
- 土壌部→土壌材料の断熱効果と水分の蒸発による冷却効果
- 排水層→断熱効果
このように一般的に真夏日中に外気温度変化や屋上躯体表面温度変化が激しいことに比較して、緑化された部分の土壌下面の温度は比較的低い温度で安定しているため冷房負荷の節減=省エネルギー化が期待できます。
効果②:くつろぎと安らぎの場の創出効果
緑は人々に対しての癒し効果があります。精神の安定や疲労回復効果も見込め、ストレス解消療法でも多く用いられています。特に学校や病院ではこういった効果を利用し、屋上緑化を設置する計画が増えています。屋上緑化は、無機質な建築構造物に温かみを与え、周囲との調和や一体感、存在感、そして潤いを与えるもので、今後の都市づくりの基盤になるといえます。
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庭園型の屋上緑化例
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工場の折板屋根の緑化例
効果③:建築物の劣化防止
建築物の屋上面の表面温度は、場所により真夏には50℃を超え、真冬には0℃以下になります。また1日の中での温度変化も20℃~30℃に達します。また、屋上面は温度以外も、紫外線等の直射日光の影響をはじめ、強風、砂、埃、雨、雪、動植物等の影響を直接受け、さらには乾燥と湿気の繰り返し等の変化も受けることになります。こうした環境圧をまともに受ける屋上において、屋上緑化を設置することは防水層が保護された状態になり、長期にわたり劣化が抑制される効果があります。
効果④:生物多様性への貢献
屋上緑化を敷設することにより生物の生息環境を創出することができます。昨今では地域の絶滅危惧種の植物を屋上に植栽して保護したり、屋上に池を造作することで多様な生物の生息空間を提供するなど、屋上緑化は生物多様性への貢献を最大限に発揮することができます。
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ビオトープの例
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菜園や水田を設置した例
効果⑤:ヒートアイランド現象の緩和効果
都市の気温が周辺地域の気温より高くなるヒートアイランド現象は、屋上緑化を敷設することにより屋上部の蓄熱を防ぎ、屋上緑化の植物の蒸散効果により気化熱が発生、都市の気温を低くすると言われています。
東京23区の陸屋根で、緑化可能なものを全て緑化した場合、夏期の最高気温で最大1.4℃低下(都市緑化技術開発機構の計算)
効果⑥:資産価値の向上
屋上緑化を敷設することにより緑被率が向上、建築物の価値が向上します。環境性能評価システムであるCASBEEやLEEDなどでは環境性能が格付けされ、屋上緑化の導入により社会的評価が高まります。
【Check More】
近年、屋上緑化の効果として注目されている
「雨水流出抑制」と
「グリーンインフラ」
グリーンインフラ(Green infrastructure)とは、自然環境が持つ力や仕組みなどの多様な機能を活用し、社会資本の整備、土地利用、防災減災計画などを推進する概念です。国土交通省では、『社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能(生物の生息の場の提供、良好な景観形成、気温上昇の抑 制等)を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるもの。』と定義しています。
屋上緑化の計画/設計上のポイント
屋上緑化を計画・設計する際に注意すべき点をご案内いたします。
【チェックポイント①】積載荷重の条件
屋上に長期に載せられる荷重は地震力荷重に屋上の面積をかけたもので、建物用途や屋上緑化の種類によって異なります。建築基準法で決められている積載荷重は表のような数値となります。土壌や排水資材の重さは湿潤状態での重さで計算します。資材とともに樹木の重さも考慮する必要があります。樹木は生長することを考えて計画することが重要です。
対象 | 住宅 | 百貨店等 | 事務所 |
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床板 | 180kg/m2以上 | 300kg/m2以上 | 300kg/m2以上 |
大梁、柱、基礎 | 130kg/m2以上 | 240kg/m2以上 | 180kg/m2以上 |
地震力荷重 | 60kg/m2以上 | 130kg/m2以上 | 80kg/m2以上 |
表1:積載荷重(建築基準法施工例第85条)
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自然土壌の比重:1.6~1.8前後
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火山砂利の比重:0.8~1.4前後
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改良土壌の比重:1.1~1.3前後
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砂利、砂の比重:1.7~2.1前後
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軽量土壌の比重:0.6~1.0前後
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デッキ材の比重:0.9前後
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黒曜石バーライトの比重:0.2前後
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レンガの比重:2.0前後
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真珠石バーライトの湿潤時の比重:0.6前後
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コンクリートの比重:2.3前後
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ビートモスの湿潤時の比重:0.8前後
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御影石の比重:2.8前後
表2:屋上に使用するおもな資材の比重表
出典:「知っておきたい屋上緑化のQ&A」財団法人都市緑化技術開発機構 特殊緑化共同研究会編 鹿島出版会2003年12月20日発行
屋上緑化に適した植栽の例
「屋上緑化に適した植栽」は下記のリンクから詳細ページをご覧ください。
【チェックポイント②】耐風圧力の確認
屋上緑化を設計する場合、発生する大きな風圧力に対して、以下のような対策が必要になります。
屋上緑化敷設面の耐風圧力の確認(改正建築基準法施行令第82条の5)を行う。
- 屋上平面の外周部や隅角部は、一般部に比較して風圧力が大きくなることに留意して屋上緑化システムの配置計画を行う。
- 緑化基盤の端部から基盤下部に風が入り込まないような構造にする。
- 屋上緑化システムの固定は耐風圧力に対し安全率を掛けて設置する。
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高層ビルの事例
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高層ビルの事例
2011年に改正された都市再生特別措置法、また全国で都市再生緊急整備地域が指定されたことにより、都市部では高層ビルが次々と建つようになりました。合わせて再開発では緑地の確保も重要になり、200mを超える超高層ビルの屋上に緑地を設置することも多くなり、安全で質の高い屋上緑化を設置することが重要となっています。
【チェックポイント③】耐根対策と防水層の種類について
マッドカーリング現象(防水層の上にたまった土,砂,花粉,藻類等が雨水により泥状になり、乾燥した時に防水層の表層に接着している泥が、収縮し亀裂を生じてめくれ上がり防水層を損傷させること。)に注意をし、屋上緑化に最適な防水を選ぶ必要があります。また、屋上緑化に適した防水層を選んだとしても植物の根が防水層まで達してしまうことがあります。そのため、耐根性能が担保されている防水層の選択、また信頼のある自着性の耐根シートや植栽基盤コンテナを設置することが重要です。
- 防水層に侵入した植物の根
- 耐根シートの設置
- 二層構造の緑化基盤
【チェックポイント④】かん水システムについて
日射や風で乾燥しやすい屋上に緑化をした場合、植物にとって必要不可欠な水を与えることは大変重要ですが、手潅水はかなりの時間と労力がかかります。確実に、無駄のない潅水を行うには自動かん水システムの導入がおすすめです。
センサ式(二層構造の植栽基盤において適用可能な独自のかん水システム)
雨水検知型、ストレス期間(※)搭載型のかん水コントローラ。 ※植物に対し季節毎に水を与えない期間を与えるプログラミング
- 無駄のないかん水で、年間節水に大きく繋がります。
⇒ランニングコストの節約にも繋がります。 - エラーの際は制御盤のランプが点滅します。通信室等に信号線をつなげることも可能です。
- 専用のPCで動作履歴を抽出することができます。(265回)
⇒異常があった際に、「どのタイミング」で「どのような不具合があったか」を具体的に分析することができ原因の究明・今後の対策を確実に練ることが可能です。
タイマー式(一般的な植栽基盤や壁面緑化・外構緑化において適用可能なかん水システム)
カレンダー機能により季節毎のかん水時間を登録し、かん水スケジュールを管理するコントローラ
- 予めかん水のタイミングをプログラミングをして運用するので、ランニングコストの試算が正確です。
⇒その一方で、植物にとってかん水が不要の場合にもかん水してしまうためセンサ式と比較して水道の使用量(=ランニングコスト。)は多い。 - 電池式コントローラの場合は電池交換を忘れずに行う必要があります。
【チェックポイント⑤】公的機関の評価を受けているかどうか
屋上緑化システム選定においては、様々な視点から製品の構造・材質・性能をチェックすることが重要です。ただ、屋上緑化システムには様々な構造・材質が多岐にわたるため製品数が多く、製品ごとの性能や特長も様々です。選定にあたって、何かしらの基準があると検討しやすくなります。
屋上緑化システムを選定する上で活用できる「第三者認証制度」をご紹介します。"認証の有無"をあらかじめ確認することで安全・安心な製品を選びやすくなります。
建築材料や設備機材等品質性能評価事業(公共建築協会 品質性能評価品)
一般社団法人公共建築協会が運営している同事業によって評価を受けることで、公共建築工事標準仕様書に合致していることを証明できます。
評価を受けるためには、製品の性能だけでなく、3年以上の使用がされた実績や、アフターサービス体制の評価も行われます。
屋上緑化施工の注意点
施工の際は以下のような項目をチェックしておくことが重要です。
- 荷揚げ
- 屋上緑化の施工は、荷揚が大きなポイントとなります。新築の場合は足場の解体、クレーンの解体など建築工程に左右されますので、荷揚時期の確認が重要となります。
また、植栽を施工の早い時期に荷揚すると枯れるリスクが多くなるため、植栽だけはすべて施工が完了し、水が出るようになるまで荷揚しないなど注意が必要です。 - 1次側給水、
電源の有無 - かん水コントローラを設置する場合は、コントローラの供給電源、給水設備の確認が必要です。植栽直後には根付きをよくするために十分な水やりが必要ですので、屋上に水と電気が供給されてからの施工が重要です。
屋上緑化の維持管理
屋上緑化は、外構緑化等と同様の植栽管理や水供給が必要となります。無管理で放置しておくと雑草が繁茂したり、植物の根が伸長し防水層に悪影響を与えるリスクがあります。また、無管理の状態は枯れ葉や土などが飛散し、最悪のケースでは緑化システムが飛散する事故につながります。
そのため、かん水コントローラの定期点検や安全点検を含むメンテナンス計画を事前に作成し、管理者と確認するこが重要です。
代表的な維持管理の内容
雑草は、風や種子の飛来により必ず出てきます。雑草が出てきた場合は、大きくなる前に除草する必要があります。メンテナンスのスケジュールに関わらず、必要に応じて雑草を除草してください。
刈り込みは、植栽の種類によりますが、外構植栽と同様に、中高木類、低木地被類、芝生類と分けて管理します。
植栽選定の際には管理度合も検討基準の一つとすると良いでしょう。
植栽は、時に毛虫やヨトウムシなどが大発生することがあり、葉や根を食い尽くされてしまうことがあります。早く発見できればスポット管理できますが、年間を通じた計画的な病害虫防除が効果的です。
雑草は必ず生えてきますので、定期的な薬剤散布により雑草が繁茂しないようにコントロールします。
春先に適宜、肥料を与えると植物の生長が安定します。
共同カイテックの強みと製品ラインナップ
共同カイテックの強み
2,000件以上の豊富な実績を元に、独自技術のセンサ式自動かん水システム装備の屋上緑化システムをはじめとする様々なタイプの屋上緑化システムを取り扱っています。そんな共同カイテックの屋上緑化を採用するメリットをご紹介します。
企画提案から施工、維持管理までトータルでサポートいたします
共同カイテックは約2,000件以上の豊富な実績を元に、①安心・安全の緑化製品 ②豊富な経験と最新の技術 ③適切な設計・コンサルディング提案をご提供しています。
200mを超える超高層ビルの屋上緑化、ゲリラ豪雨対策となるグリーンインフラ製品、生物多様性配慮型屋上緑化など、今後も様々なニーズに答えられる様、脱炭素社会に向けた「地球環境配慮型」の緑化製品を目指し、安心・安全と最新の技術を提供してまいります。
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コスト管理
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図面作成
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施工管理
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技術的なサポート
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デザインやレイアウト
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植栽提案/選定
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屋上緑化の付帯設備
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適切な製品提案/選定
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適切なメンテナンス提案
- センサ式自動かん水システム
- 雨水検知ができ、ストレス期間搭載(植物に対し季節毎に水を与えない期間を与えるプログラミング)型の「センサ式自動かん水コントローラ」は、業界でも類をみない、当社の独自技術から生まれた屋上緑化の付帯管理システムです。管理の省力化やランニングコストの削減など様々なメリットがあります。
- 自由な設計が可能な製品構造
- 一般的なユニット型の屋上緑化はユニットの寸法単位での植栽となり、寸法などのデザイン制限を受けますが、共同カイテックの製品はユニット単位の植栽ではなく、その製品構造の特長から立体的・平面的に植栽が可能となっており、豊かな表情を持った屋上緑化を自由に設計できます。
- 専門部隊による責任施工
- 共同カイテックは製品の販売だけではなく、ご発注をいただいたら、専門部隊によって責任をもった施工を行っています。提案からはじまり、お引渡しまで、ワンストップで製品に関わる様々なサービスを提供しています。
- 導入後の維持管理もサポート
- 適切な内容のメンテナンスが行われなければ建物の資産価値にも影響を与える事態になりかねません。そこで当社の緑化製品をご採用いただいたお客様に、末長く当社の製品をご利用いただくため、各種メンテナンスのサポートを行っています。
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センサ式自動かん水システム
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自由な設計が可能です
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専門部隊による責任施工
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導入後の維持管理もサポート
製品ラインナップ
共同カイテックの豊富な製品ラインナップは、お客様の屋上緑化のご要望や状況に確実にお応えできる内容となっています。
陸屋根用
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スクエアターフLight(陸屋根用)
共同カイテックが自信をもってお勧めする採用率No1の屋上緑化システムです。
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スクエアターフLight(超高層ビル用)
超高層ビルや風圧条件に厳しい屋上用に設計された屋上緑化システムです。スクエアターフLightの屋根面に掛かる風圧力に対応した固定方法を採用することで、風速65m/sにも対応可能です。
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スクエアプランツ
地被類や草木に特化した屋上緑化システムです。雑草が生えにくい形状で湿潤時で50㎏/m2と超軽量です。
折板屋根用
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スクエアターフLight(折板屋根用)
様々なタイプの屋根に設置可能な超軽量屋上緑化システムです。
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スクエアターフWave(折板屋根用)
ハゼ@500mm汎用タイプに特化した経済性重視の折板屋根緑化システムです。