カーボンニュートラル・脱炭素の観点でOAフロアを選ぶ②

前回のコラムでは新築の建築物におけるCO2排出量削減アイデアのひとつとしてOAフロアの低床化を紹介しました。(参照:カーボンニュートラル・脱炭素の観点でOAフロアを選ぶ①)
今回は注目が高まる「ホールライフカーボン」の考え方について紹介させていただきます。

エンボディドカーボン(建設時CO2排出量)の削減に注目

2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、多くの企業でCO2の削減目標が掲げられています。
省エネの取り組み事例が身近ですが、これらは影響が大きいとされるオペレーショナルカーボン※1削減に向けたものです。
これに創エネを加えた建築物のZEB化※2が実現すれば、建物で消費する年間の一次エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにすることができます。
しかしながら、オペレーショナルカーボン削減施策とZEB化だけではカーボンニュートラル達成は困難です。
取り組みが進んでいる欧州では、次のステップとしてエンボディドカーボン※3削減に重点を置き始めており、日本でも注目が集まりつつあります。
その中でも手を付けやすい領域となるアップフロントカーボン※4削減に向けて、一部の国ではアップフロントカーボンの報告義務や上限規制が段階的に始まっており、日本でも追随する動きが見られます。
オペレーショナルカーボンとエンボディドカーボンを合算してホールライフカーボン(ライフサイクルカーボン)と称し、特定の段階だけではなく建物の生涯を通してのCO2排出量削減が最終的な目指す姿となります。

※1 建物の運用段階に発生するCO2
※2 ZEB(Net Zero Energy Building)化、建築物の年間消費エネルギーを実質ゼロにすること
※3 建物建設及び運用に関わる全ての建築資材の生涯(調達、輸送、建設、修繕、解体処理)を通じて発生するCO2
※4 建物の建設段階(調達、輸送、建設) を通じて発生するCO2


  参考:ライフサイクルカーボンの算定手法の構築(国土交通省)より

個別製品の環境負荷情報を確認するためにはEPDを確認

OAフロアによるCO2排出量はエンボディドカーボンに含まれ、施工面積が大きくなるオフィスビルでは影響も大きくなります。
この影響を測るためには個別製品ごとのCO2排出量情報が重要となります。
個別製品におけるCO2排出量のデータを確認する方法としては、EPD(Environmental Product Declaration環境製品宣言)が活用可能です。
EPDは共通のISOに基づいて世界各国で運用されており、日本国内ではSuMPO EPD※5が活用可能です。
SuMPO EPDではGHG(Greenhouse Gus:温室効果ガス)の総量をCO2に換算した数値を確認することができます。
当社でも一部製品でEPDの公開を進めております。
※5 一般社団法人サステナブル経営推進機構が管理・運営する環境情報開示のプログラム。

J-CAT(正式版)などのツールを使えばEPDが無くても算出可能

一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターより、建築物のライフサイクルカーボン算定ツールであるJ-CAT(正式版)が2024年10月31日に公開されています。
本ツール内ではデータベースとして、日本建築学会が公表する「建物のLCA指針」(2024年版)が用いられ、このようなデータベースでは「原単位」として一般的な建材のCO2排出量が登録されています。
個別製品のEPDが無くとも建築物のCO2排出量は計算可能ですが、低炭素建材を使用した削減効果を反映するなど、より正確なデータとするためには個別製品のEPD拡充が求められています。
J-CATでは公開済みEPDの情報も内包されており、算定の際に選択が可能となっています。

ホールライフカーボンの視点では製品寿命や耐久性も重要

EPDにより各建材のCO2排出量が明らかになることで、その数値の大小で製品を選択したくなりますが、実際にはそれ以外の情報やOAフロアそのものとしての性能・機能についても確認が必要です。
特に製品寿命や耐久性は、将来のメンテナンス・更新の有無や頻度に影響し、CO2排出量だけでなく資源・エネルギー消費や廃棄物発生量が増大する可能性があります。
製品寿命や耐久性については数値化された情報が一般的に公開されていないため、製品選定の際には注意が必要です。
「長く使う」ということは新たな資源消費を抑制することであり、3Rや5Rなどに定義されるReduce(リデュース)に該当します。

ネットワークフロアは業界唯一の10年長期保証付き

ネットワークフロアは以下のような特徴からReduceと相性が良いOAフロアです。

  • 1986年の発売開始から既に38年以上の販売実績(1,600万m2以上)を持つ
  • 業界唯一の10年保証が付与
  • 床に追従する独自構造でガタツキを抑制し、省メンテナンスで継続利用が可能
  • また、ネットワークフロアは3Rで提唱されるReuse(リユース)、Recycle(リサイクル)が可能なスキームを持ち、資源循環によって更なる環境負荷低減に貢献が可能です。(リユースリサイクルシステムの詳細はコチラ)
    OAフロアについてご検討の際には当社へお問合せください。

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