2026/08/19
「5000Nには500kg」は危険? OAフロアの耐荷重性能とは? 「所定荷重」と「許容積載荷重」を解説
OAフロア

OAフロアを選定する際、「耐荷重性能」は必ず確認される重要な項目のひとつです。
一般的なオフィスでは3000N品が標準的に採用され、サーバーラックや重量什器の設置が想定されるヘビーデューティーゾーンには5000N品が採用されることが多くあります。
耐荷重性能に限れば、その数値が大きいほど優れていることは間違いありません。
しかしながら、意外と見落とされがちなのが、
・スラブとOAフロアでは耐荷重性能の考え方が異なる
・「3000N品だから300kgまで、5000N品だから500kgまで載せてよい」という考え方は正確ではない
という点です。
今回は、OAフロアの耐荷重性能について、フリーアクセスフロア工業会の考え方も交えながら解説します。

そもそも、耐荷重性能はどのように決めているのか?
静荷重試験の実施風景OAフロアの耐荷重性能の判断方法は、JIS A 1450 内の「静荷重試験」によって規定されています。
試験では、OAフロアに対して直径50mmの加圧子(鉄柱)を用いて集中荷重を加えます。
3000N品であれば3000N、5000N品であれば5000Nの荷重を加え、
・荷重を加えた際の変形量
・荷重を除荷した後の残留変形量
を測定し、それぞれが規定値以内であれば合格となります。
この試験で加える荷重のことを「所定荷重」と呼びます。
一般的に、製品カタログ等に記載されている3000Nや5000Nという数値は、この所定荷重を示します。
スラブの耐荷重性能である等分布荷重とは考え方が異なる点に注意が必要です。
※共同カイテックではJIS A 1450に基づく試験結果を用いています。
ただし、市場に流通するすべてのOAフロア製品が同一条件で試験を実施しているとは限りません。
製品ごとの性能は必ず個別にご確認ください。
なぜ耐荷重性能は「N(ニュートン)」で表記されるのか?
什器や設備の重量は一般的にkg(キログラム)で表現されますが、OAフロアの耐荷重性能はN(ニュートン)で表記されています。
これは、OAフロアの性能評価が「質量」ではなく「加わる力の大きさ」に着目しているためです。
1N(ニュートン)は、1kgの質量をもつ物体に1m/s2の加速度を生じさせる力、と定義されている「力」の単位で、地球上において1kgの物体に働く力(重力)は約9.8Nです。
逆算すると、1Nを生じさせる質量は約0.102kgとなり、単純換算では3000N品で約306kg、5000N品で約510kgに相当しますが、この数値がそのまま「許容積載荷重」を意味するわけではありません。

所定荷重=許容積載荷重ではない
実際の什器は、収納物や設備機器の配置によって重心が偏ることがあります。
また、地震時にはさらに大きな偏荷重が発生する可能性があります。
そのため、所定荷重いっぱいの重量物を長期間設置することは安全上望ましいとはいえません。
この考え方を踏まえ、フリーアクセスフロア工業会では、所定荷重に対して安全率を考慮し、1.5で除した値を「許容積載荷重」として扱うことを推奨しています。(表1参照)
カタログ記載値を超えなければ問題ないというわけではなく、許容積載荷重の範囲内で運用することが重要です。

試験対象は「在り姿」のメインユニット
もうひとつ注意したい点があります。
静荷重試験は、製品の最弱部に対して実施された結果を適用する考え方ですが、試験対象はあくまで製品本来の形状である「メインユニット」です。
現場では、
・壁際の端部加工
・設備配管に伴う開口加工
・特殊な切断加工
などが行われることがあります。
これらの加工済みユニットや、オプション材はJIS試験の対象外です。
一般的に、切断や穴あけ加工を行うと強度は低下します。
そのため、端部補強や適切な支持構造が確保されているかを確認することが重要です。
「5000N品を採用したから現場のどこでも5000Nの性能が確保されている」とは限らない点に注意が必要です。
実際に積載可能な重量は?
ここまで説明してきた許容積載荷重は、静荷重試験で用いられる直径50mmの加圧子(50φ)による点荷重に対する許容値です。
しかし、実際に設置される什器は複数の脚によって支持されるため、OAフロアへ加わる荷重は脚の本数や配置によって変化します。
OAフロアはユニットごとに独立した構造となっているため、什器の脚がどのユニットに配置されるかによって、各ユニットに作用する荷重は異なります。
例えば、同一ユニット内に1本のみ脚が載る場合と、複数本の脚が集中する場合では、そのユニットにかかる荷重条件は大きく変わります。
また、重量物であっても脚数が多く、荷重が分散される場合には、各ユニットへの負担を軽減できるケースもあります。
そのため、実際の積載可能重量を検討する際には、製品の所定荷重や許容積載荷重だけでなく、什器の重量、脚部の形状や本数、配置計画についても総合的に確認することが重要です。

ネットワークフロアの場合は?
共同カイテックのネットワークフロアは、静荷重試験において3000N・5000Nの両区分に適合しています。
また、600mm×600mmのユニットがスリットによって細かく分割される構造であるため、荷重が特定箇所に集中しにくい構造となっています。
さらに、
・荷重を面全体へ分散しやすい
・一つの構成単位へ複数脚が集中しにくい
・端部材にもメインユニットと同じ超高強度軽量コンクリートを使用している
といった特長があり、高い耐荷重性能を確保しています。
まとめ
・3000N・5000Nは静荷重試験時の「所定荷重」を示している。
・実際の運用では、フリーアクセスフロア工業会が推奨する「許容積載荷重」を目安にすることが重要。
・3000N品の許容積載荷重は約2000N、5000N品は約3300Nが目安。
・端部加工部や開口加工部、オプション材は試験対象外となるため注意が必要。
・製品によって試験条件が異なる場合もあるため、性能評価方法を確認することが大切。













