2026/01/21
【定期連載】都市緑化と防災② ~緑が都市を守る時代~
屋上・壁面緑化
再開発と緑化

屋上に設置された雨水流出抑制型屋上緑化システム『スクエアターフ洪水無用』
2025年も日本各地で豪雨災害が相次いだ。熊本県では8月の記録的な大雨により4人が死亡し、住宅被害は8,600棟を超えた。熊本では令和2年にも豪雨による大災害が発生し、死者・行方不明者67人、重軽傷者51人を数えている。※[1]
また、近年は台風の大型化も顕著で、最大風速70mと報じられる事例もあり、自然災害の激甚化を改めて認識させられる一年であった。
一方、都市部では再開発が加速し、都市再生特別措置法のもと、各地で競うように街づくりが進められている。自然の脅威を克服したかのように大型ビルが次々と建設され、全国の主要都市では摩天楼の景観が日常のものとなった。
しかし、その摩天楼を地上から見上げると、近年は多くの建築に緑が多く取り入れられていることに気づく。虎ノ門ヒルズや麻布台ヒルズでは、壁面や屋上に積極的な緑化が施されており、ESG投資や各種環境認証の広がりとともに、建築緑化の採用が増加している。
福岡市では緑化に対する補助制度が充実していることから、中心市街地でも壁面緑化を施したビルが多く見られるようになった。大阪のうめきた広場周辺では、大きな樹々が生い茂り、ビルの合間に芝生と建築緑化が美しく調和している。さらに、品川から新橋にかけての再開発エリアでも緑の導入が進み、都市空間における緑の効果と価値が、ようやく広く認識され始めてきたと言える。
屋上緑化のダム効果

このように、屋上緑化の効果はヒートアイランド現象の緩和や建物の断熱性能向上にとどまらず、再開発においては街の「顔」となり、人々を惹きつける重要な要素となっている。
加えて、屋上緑化には雨水を一時的に貯留し、内水氾濫を抑制する「ダム効果」があり、都市型洪水対策としても有効である。
共同カイテックの雨水流出抑制型屋上緑化システム『スクエアターフ洪水無用』は、1平米あたり約120リットルの雨水を貯留することが可能である。雨水流出抑制機能を兼ね備えたこのような製品は、今後の再開発やまちづくりにおいて、ますます重要な役割を担っていくと考えられる。
さらに、ネット・ゼロ・ウォーター・ビルディングの観点から、敷地や建物に降った雨水を、植物への潅水だけでなく、トイレ用水や雑用水として再利用する手法やシステムが一層普及すれば、緑化業界全体の活性化にもつながるだろう。
これからの屋上緑化
今後の屋上緑化は、雨水を有効活用する緑化システムが主流となり、水道水を常時使用する従来型の屋上緑化は、次第に淘汰されていくと考えられる。
大阪・関西万博におけるリング上の緑化は素晴らしい景観を創出していたが、期間限定のイベントとはいえ、相当量の水が使用されていたことは否めない。私たち緑化の専門家の立場から見れば、持続可能性という観点で課題も残った。
地下水を含め、できる限り水資源への負荷を抑え、雨水のみで植物への潅水が可能なシステムを早期に社会実装していくことが、これからの屋上緑化に求められている。
出典:※[1]熊本県「8月10日からの大雨にかかる被害情報(令和8年1月9日現在)」
執筆/文責
共同カイテック株式会社 環境事業部
川口 政義












